“組紐” と、一言で云っても
いったいどういうものが組紐なのやら?
それでは “ひも” となると…
日々の暮らしの中をぐるっと見まわしてみて下さい。
荷造りのひもやエプロン、パーカーのフードや裾、コマまわしのひも、紙袋の手提げや巾着袋の紐など、
実にたくさんの場面で多くのひもが活躍しています。そして、その“ひも”たちは、
地味ながらもその用途になくてはならない存在であることに、お気づきいただけることと思います。
それが“ひも”。
私どもが製作、販売しているのは、それらの中でも美意識を以った、云い換えれば工芸的な美を伴った「ひも」なのです。
紐にもいろいろありますが、大きく分類して3種類あります。
数十本合わせた糸の束をいくつかの玉に巻き、斜に交差させながら組む「組紐」、縦糸と横糸を直角に合わせ織った「織紐」、そして糸の束を撚り合わせた「撚紐」です。
三種の紐には、単なる種類の違いだけでなく、用途に応じた適性があります。
例えば「組紐」。斜に糸が交差するこの紐には伸縮性があります。和装の帯締めの多くはこの組紐が使われております。
伸縮があることにより、強すぎず、弱すぎず、帯締を締められた方の呼吸に柔軟に対応できるのです。
その他、組紐はさげ袋の紐や、お茶道具を包む仕覆と呼ばれる袋物の締め緒など、非常に多くの場面で使われています。
一方、織紐は、縦糸と横糸との直角交差で織られることから、ほとんど伸縮がありません。
この織紐の多くは「真田紐」と呼ばれるもので、主にお茶道具などを入れる木製の箱にかけられます。
箱を持ち運ぶ際に、手をかけ、持ちやすいようにと使われるようになったのが始まりといわれ、その実用面からも、
伸縮の少ない真田紐は適していると言えます。
綱引きの縄のように、撚りをかけて作られる「撚紐」は、紐の歴史の上でも一番古いものと言われています。
組紐や織紐と同様の観点からいえば、この撚紐も伸縮は少なく実用性の高い紐といえます。
鳥居にかかる締め縄、不動明王が手にもたれている五色の撚りひも、
お相撲さんが腰に締める“まわし”などで、目にされた方も多いのではないでしょうか。
紐の歴史は、有史以前からと云われ、わが国においても聖徳太子の時代以前から、それ相当の発展があったと云われております。
以降、随、唐から、そして古代朝鮮から高度に発達した組紐技術が渡来し、格段に工芸的に美しい紐が製作されるようになったと聞いております。
現に、唐組、唐織り紐、唐打ち等の名称が伝承されており、その名称からも紐の歴史を伺い知ることができます。
衣類をまとうため、物と物とを繋ぐため、運ぶため、などなど実用から生まれた紐が、時代の流れとともに、工芸的な美を伴い、それぞれの個性を表現するために様々な技巧が生まれたといえましょう。